21.脳動脈瘤

【概念】脳動脈瘤は脳動脈に瘤ができ、もし破裂すれば一巻の終わりになります。たとえ緊急手術を受け一命を取り留めても、半身不随、言語障害、植物人間など重大な後遺症を残してしまいます。 昔、脳出血と言っていた中には脳動脈瘤の破裂が含まれていたと思われますし、今日よく聞く、くも膜下出血の大部分は脳動脈瘤出血です。

【症状】突然に起こる激しい頭痛です。痛みは眼の奥から頚、背筋、尾骨にまで走る痛みが特徴的です。吐き気を伴い、多少の発熱もあります。風邪薬、痛み止めでは軽快しません。 少し、軽快したと思っても、何かで力を入れた時に再び激しい頭痛が起こります。後日に分かることが多いのですが、激しい頭痛の度に小出血が起こっているのです。動脈瘤の圧迫によって眼瞼下垂、複視、視力障害を来すこともあります。

【検査】CT像やMRIで脳に異常が見つかれば、血管造影MRAによって診断します。内科医、眼科医、整形外科医で別の治療を受けていたということがよくあります。脳外科医、神経内科医の受診も大切になります。尋常でない頭痛の時は「先生、私のは脳動脈瘤ではないでしょうか」とお尋ねになることでしょう。小さな動脈瘤は症状がありません。脳ドック検査で偶然発見されることもあります。

【治療】脳動脈瘤と分かれば手術しかありません。頭蓋骨を蓋を開けるように大きく切り取ります(開頭術)。慎重に剥離を進め、動脈瘤の基部をクリップいたします。手術はかなり難しい手術ですし、手術による合併症も無視できません。 しかし十分に医師の説明を聞き、状態が理解できれば、勇気をもって手術に立ち向かってください。 偶然発見された脳動脈瘤は、手術をせずに定期検査で様子を見れば良い場合もあります。

【妻の場合】私ごとで恐縮ですが、3年前に妻が脳動脈瘤の手術を受け、九死に一生を得ました。 約2か月に亘り、頭痛が続き、その間激しい頭痛が3回ありました。整形外科では変形性頸椎症だろうと言われ、頸の牽引療法をしていましたが、眼の症状(複視)が出てきたため、脳動脈瘤を疑われました。紺屋の白袴で、最初の頭痛の時に脳動脈瘤を疑っておけば良かったと後悔しています。 8時間にわたる大手術でした。右内頚動脈から後交通動脈に分枝した部分から大豆大の動脈瘤を認め、その基部をクリップで挟み、周囲の血塊(3回の激しい頭痛に一致した)を除去して手術を終了したと説明を受けました。 術後経過は順調で、失語症や意識障害、四肢の麻痺はなく、17日後に退院しました。痙攣予防の薬を2年間内服しました。現在の後遺症としては、軽度の複視のため素早い動作ができず、疲れ易く必ず午睡をとっていますが、日常生活には支障ありません。