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29.前立腺肥大症
【概念】前立腺は男性にのみにある臓器で、膀胱の出口で尿道の根本を取り巻き、胡桃くらいの大きさです。 前立腺では精液の主成分を分泌し、精子が受精するまでの栄養源として重要なものです。高齢になると、前立腺肥大症が現れ、40歳代では25%に、70歳代では80%に肥大が認められるのです。 前立腺肥大症と思っていたら、前立腺癌になっていたという例も少なくありませんので注意せねばなりません。
【診断】排尿が困難になります。具体的に言いますと、排尿開始時に力む、放尿の勢いが弱くなる、排尿途中に尿がとぎれる、排尿後まだ尿が残っている感じ、排尿後2時間以内に次の排尿に行きたくなる、夜間に3回以上排尿に起きる、などを訴えます。 毎年の健康診断やドック検査では無症状でも前立腺の検査は必要です。 検尿で血液を認めれば要注意です。泌尿器科を受診しますと、触診や超音波検査で前立腺の大きさを測定いたします。 前立腺癌の検査では、血尿の有無、尿中の細胞検査をいたします。血液検査によって腫瘍マーカの前立腺性酸フォスファターゼを検出いたします。 前立腺癌は骨やリンパ節転移を起こし易いので、全身的な精査が不可欠であります。 排尿障害は全くなく、ただの腰痛症だと思っていたら、前立腺癌の骨転移だったという話を時々耳にします。
【前立腺肥大症の治療】排尿が困難になり、腎機能に悪影響が出るくらいになりますと、治療をしなければなりません。応急の場合、導尿によって排尿を図らなければならないこともあります。 男性ホルモンに拮抗するアンチアンドロゲン剤、尿道を弛緩させるアルファ遮断剤の投与をします。 前立腺の一部切除を行います。最近は内視鏡手術が主流となり、レーザ、マイクロ波、強力超音波など新しい熱源を利用した方法が行われています。
【前立腺癌の治療】もし前立腺癌が発見されますと治療法も変わります。癌が前立腺に限局した状態であれば、前立腺の摘出術を行います。周囲に広がっていれば、放射線治療を併用いたします。 同時に、去勢術(睾丸を切除)を行い、男性ホルモンの分泌を無くし、女性ホルモンを与えます。このような治療により、体格の女性化が見られますが、精神状態にまで影響することはありません。 前立腺癌に対するホルモン療法は有名です。1941年にHugginsによって始められた療法で、去勢した後、女性ホルモンを大量に投与いたします。この療法によって10〜20年間生存した人が多数おられます。その功績のため、Hugginsはノーベル賞を授与されました。
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