32.癌のターミナルケアー

【死に直面して】日本人の平均寿命が男性78歳、女性85歳となり、その死因を見ますと、癌が1位、脳血管障害が2位です。癌の治療方法が進歩し、生還した人も多い反面、万策つきてターミナルケアに頼らざるを得ない事態も少なくありません。 最近はホスピスケアという言葉を耳にされるように、癌のターミナル患者を専門にケアしようとする病院もあります。痛みを除去し、静かに自分の過去を振り返り、今日まで過ごした生の充実感に浸るとともに、次第に迫る死を正しく見つめようとするものです。
【在宅ケア】入院されている病院が理想的な環境であれば結構ですが、在宅ケアも選択枝の1つとして考えてください。 前提となる条件として、病状が落ちついている、痛みの対策がとられている、主治医の許可がある、家族に受け入れる用意がある、いざという時に再入院できる、などが必要になります。 自宅には自分の過去の記憶、記録が一杯詰まっています。病院の狭い部屋では得られない安息と瞑想が得られるはずです。 家庭の暖か味が、痛みを柔らげ、不安を忘れさせることでしょう。そのような家族との接触を通して自分の像を家族に印象付けることも可能です。家族もまた貴方を再発見する面があることでしょう。
【日本人の死生観】このような機会に、自分史を編集した方、闘病記を書いた方、没後に家族、友人が集まり遺稿集を出版された方など多くの例があります。もし、家族ぐるみの宗教一家であれば、抵抗なく死を受容されることでしょう。しかし多くの日本人は特定の宗教を持っていません。 一般に日本人は仏教徒と言いますが、普段からお経を称え、教義に精通した方は少なく、正月には神社に初詣、結婚式は教会で、葬儀は仏式でというパターンに少しも抵抗感はありません。 これを日本教と評した人があり、その信念は極めて強いものであると言われています。
【受け継がれた習慣】最近、核家族化したとはいえ、盆・正月の帰省ブームは正に大家族の絆が残っている証拠です。仏教では輪廻転生と言って死後49日になると、どこかの世界に生まれ変わることになっています。話には聞いても、それを信じる日本人はいません。日本人の深層意識には儒教でいう招魂再生があるようです。 家族によって営まれる故人の命日、盆、彼岸の祭祀には自分の魂が呼び入れられ、家族の心の中に再生するという心情には同感できます。自分の死後も同じように家族が集まり、自分の魂を迎えてくれるだろうと思えば、安心して死出の旅につくことができるのです。そのため、貴方も生前に、先祖を祀る習慣を家族たちに残しておかなければなりません。