36.嚥下障害

【原因】人間は生きるために食物を摂取しなければなりません。何かの原因のために口に入れた食物を嚥下しにくくなる病気があります。 健康な時には、反射的に行っている嚥下運動によって、口、咽頭、喉頭、食道、など多くの筋肉が協調的に働き、食物を胃へと運んでいるのです。 しかし、脳梗塞後遺症などのため、舌や咽頭の筋肉が麻痺しますと、嚥下が困難になり、無理をすれば気管に吸い込み、肺炎を起こしてしまいます。 下咽頭癌や食道癌のため食物が通過しにくくなり、嚥下障害を起こすことも気にしておかなければなりません。
【診断】食物がいつまでも口の中に残る、無理に呑み込むと気管に入りむせる、一度は嚥下できても胸のあたりでつかえている、唾が溜まりごろごろ、ぜーぜー言っている、などを訴えます。 耳鼻咽喉科や神経内科を受診し、嚥下障害の原因を調べます。口腔・咽頭・食道の透視検査をしたり、内視鏡検査をします。もし、癌らしいものがあれば、試験切除をして病理検査に提出します。
【リハビリ】嚥下の協調運動が障害されている場合は、リハビリによって訓練します。 例えば、食前の予備運動です。頚の運動、頚のマッサージ、顎の運動(口の開閉)、口唇の運動(頬を膨らます、パ行を言う)、舌先の運動(舌を前後左右上下に動かす、タ行を言う)、軟口蓋の運動(カ行を言う)、舌根の運動(ラ行を言う)を繰り返します。最後に大声で「パタカラ、パタカラ、パタカラ」と叫びます。 これで嚥下運動に関係した筋肉のウオーミングアップができましたので、軟らかく舌触りの良い物から1口づつ時間をかけて食べるのです。ゼリーで固めたり、トロミアップで粘りを出すのも良いでしょう。次第に、粥食、きざみ食、に上げて行きます。
【経管栄養】どうしても口から食べられない時は、経管栄養にしなければなりません。鼻から細い管を胃まで入れて、食事は完全な流動食とし、必要カロリーと水分を流し込みます。 胃瘻造設と言って、腹壁に孔を作り、胃に直接通路をつける方法もあります。 【肺炎の予防】食後には口を濯ぎ、歯を磨き、食物残渣が口内に溜まらないようにします。残渣に繁殖した細菌を知らない間に誤嚥し、肺炎を起こす危険性があるからです。口に溜まった唾液は常に吸引しなければなりません。 それでも、肺炎を繰り返すような場合は気管切開や、食道・気管分離術などの手術をしなければならない場合もあります。
【癌の治療】下咽頭癌や食道癌が発見された場合は、その専門病院で手術や放射線治療を受けなければなりません。