7.歯の衛生

【噛む効用】歯の健康については再三聞かされる機会があります。むし歯になったり、歯が無くなりますと、歯の有り難みが分かりますが、それでは手遅れです。岩本はよく噛むことがもたらす効用を次のように述べています。
1.精神安定効果:精神的な満足感が得られます。
2.覚醒効果:運転中のねむけ防止にチュウインガムが勧められます。
3.脳の活性効果:噛むことが脳内温度上昇、脳内ホルモン増加があったという実験があります。マウスの迷路実験で、固い餌で飼育した群の方が、軟らかい餌で飼育した群よりも、有意に優れていたそうです。
4.痴呆防止効果 統計的にアルツハイマー型痴呆という老人性痴呆にかかる危険要因として、歯の喪失が有意差を示したそうです。
5.肥満防止効果 よく噛んで食べると食べ過ぎを抑え、肥満防止につながります。歯が良ければ線維性食品も多くとることになり、便通をよくする結果になります。
6.体力増強効果 瞬発力を要するスポーツでは歯を食いしばって力を出します。小学校の児童で50m競走、と懸垂回数を調べると、咀嚼良好群の方が有意に優れていたそうです。老人ホームで平均年齢80歳の老人について、日常生活能力(ADL)と咀嚼能力とは明らかに相関関係が認められたそうです。
7.がん予防効果 発がん性物質は唾液によって抑えられます。線維性食品が大腸がんの予防になることは上にも書きました。

【予防】歯が失われる原因は齲歯(むし歯)と歯周炎(以前は歯槽膿漏と言われた)ですから、その予防と治療が大切になります。 そのためにはまずバランスのとれた食生活(カルシウム、蛋白質、甘いものは少なく)、よく噛む習慣、上手に歯を磨く、などに気を付けましょう。 上手に歯を磨く方法は、歯と歯のすき間、歯と歯ぐきのすき間に歯ぶらしの先を立てるようにし、1本1本丁寧にブラッシングします。歯磨き剤は不要です。歯間ブラシや木綿糸を利用して歯のすき間を清掃することが勧められます。私は電動歯ブラシを軽く長時間あてることをお勧めしたいと思います。 成人の歯は全部で28本あります。平成5年の調査では80歳の日本人で残っている自分の歯の数は平均5本でした。現在、厚生省では80歳で20本を残す「80-20運動」を推進しています。目標はまだ遠いと言わざるをえません。

【参考】岩本義史著:健やかに老いるために、129〜140、南山堂、1996